唐木俊介のブログ

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不機嫌オールドマン

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「おい、***(よく聞き取れない)はあるんか?」

 

「は、はい、お調べいたします」

 

「おう、すぐ確認せえ」

 

 

↑これは昨日の朝新幹線に乗るときの、目の前のご老人とパーサーのやりとり。車両のドアが開くとそこにパーサーの女性が立っていて、齢70くらいでしょうか、サイズは合っていないけれど高そうなスーツを着た恰幅の良い男性が乗り込む折に何かの在庫を問い合わせていました。お土産物でしょうか。凄い命令口調だなぁと思いつつ僕は3列の通路側に着席。ご老人は通路を挟んだ僕の斜め前に着席。ジャケットを脱ぐと、ネイビーのサスペンダーがかなりの勢いでパンツを吊っていました。ちょっと調整した方がいいんじゃないかな。そんなに吊ると・・・まあいいや。座ったら今度は高そうなレザーのボストンバッグから扇子を取り出してパタパタ。扇子には何か香料が付いていて和風な匂いが少しだけ漂いました。はて、何者なんだご老人・・・。

 

 

やがてパーサーがご老人のもとに。

 

 

「申し訳ございません。*****。」

 

 

どうやら問い合わせた品物の在庫がないようです。するとご老人が強めの語気で

 

 

「まだ朝ど。なんでないんな。岡山駅にはないんか。すぐ確認せえ。ワシは岡山で降りるんじゃ」

(「朝ど」=「朝だぞ」)

(「ないんな」=「ないんだ」)

 

 

これはハッキリ聞こえた。怒れる、いや、イカれるご老人なのであります。横柄オブザイヤー確定。文句セレクション金賞もついでに確定なのであります。もう凄い。周りの乗客もチラチラ見ている。凄い命令口調。・・・こういう人、いるんだなぁ。普段から大勢の人を従えて、皆に対してそういう言葉を使っていないと、なかなか自然にはできなさそうな振舞い。僕は初めて見たなあ・・・。希少です。ていうか岡山で降りるんかい!福山ー岡山って20分もかからないじゃないか。何を焦っているんだご老人。岡山の土産物屋で買えばいいじゃないか・・・。あっ、さては・・・もみじ饅頭だな。フフフ、わかったぞ俺には。福山駅でもみじ饅頭を買い忘れたんだな。福山は広島県の端っこ。岡山に着くときび団子ばかり売っていて、もみじ饅頭が売ってないんだろう・・・。岡山で誰かに会うのにお土産がきび団子では冴えないから困っているんだな。フフフ・・・。って全部想像ですが、そんなことを思ったのであります。

 

 

確認しろと言われてパーサーがどこかへ行くと、今度は車掌さんが歩いてきました。すると扇子で手招き。耳元で小声で何かを言っていますが、今度は聞こえませんでしたが、車掌は何やら謝っている様子。しかしそれからご老人は静かになりました。

 

 

10分ほど経って新幹線は岡山駅に着きました。ご老人、立ち上がる時にやっぱりサスペンダーの吊り具合が凄くて、後ろから見たらシワの具合が全盛期の岡本夏生みたいになっていたけれどまあそれはいいや。不満顔で僕の横を通り過ぎて降りて行ったけれど、あの後どうしたんだろうか。ご高齢、たとえ人生の大先輩だとしても、あんな横柄な態度で人に接していると、その先にはバッドエンドが待っているような気がしますが・・・。

 

 

っていう話でした。

 

 

 

 

 

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