唐木俊介のブログ

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マンの日記

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ほぼ毎週、市の図書館へ。娘2人が会員カードを持っているので、いつも1人10冊×2=20冊まで本を借りることができます。娘たちは本が好きで、特に8歳の娘は結構没頭しています。もう話しかけてもページから目を離さずに空返事。わかる。僕も読んでいる時はそうなる・・・これも遺伝かと感慨にふけるのですが、そんな8歳の娘が何を読んでいるかというと「忍たま乱太郎」とか「怪傑ゾロリ」といった所謂「児童書」というやつです。いいじゃないか娘よ、大いに読み給へ。自分が面白いと思うものを読むのが一番。やがて絵がなくなって、イラスト無しで文字だけを読むようになれば想像の幅が広がってもっと面白くなるよ。

 

 

さて、図書館で本を借りるときは娘たちの本の中に2冊ほど僕が読みたいものを忍ばせるのですが、今回は…

 

 

 

 

 

・・・トーマス・マンもまさか死語60年以上経って日本という異国の地で「うまいもんフライヤーズ」と「うんちどろぼうのひみつ」に自分の日記が挟まれているとは思わなかっただろうなと少しの感慨に耽っているのであります。オイオイ、俺だぜ?トーマス・マンだぜ?みたいな。こんな児童書の山に挟まれるなんて、これが本当の「魔の山」ってか。(言うてる場合か!)

 

 

 

そんなわけで(どんなわけやねん)トーマス・マンの日記を少しずつ捲っています。ランダムに開いて、そこを読んでみる。といった風に。例えば今日の日付を…。

 

 

 

1937年の11月27日(土曜日)。この時点で62歳のマン。スイスのキュスナハト某所で空の澄んだ朝、午前中執筆して、その後奥さんと散歩したということが書かれています。一日あたりの分量は日本語訳で300~400字程度。朝、Kと散歩(「K」とは奥さん、カトリーヌさんのこと。カトリーヌくらいちゃんと書けよと思いますが…)とか、講演の執筆、とか、簡潔に書かれていてわかりやすい。しかしこの方、ノーベル文学賞作家だけに交友関係がエグい。ヘルマン・ヘッセ夫妻とお茶…とかアインシュタインの講演がわかりにくくて…とか、しれっと書かれたビッグネームに驚くこともしばしば。

 

 

 

 

 

 

 

ちなみに彼が「ヴェニスに死す」という小説を書いたのは今の僕と同じ37歳の時。同作は作曲家マーラーの死に触発されて書いた作品…なんだか、スケールが・・・。頭の中にマーラーの交響曲第8番を流しながら書いたのでしょうか。ちなみに今僕はキリンジの「午後のパノラマ」という曲を何度もリピートして聴いていますが(知らんがな)。そして目の前にあるのは…

 

 

 

 

学生時代に書いていた自分の日記です。2000年の元旦から5年間、毎日欠かさず書いていました。無印のノートに書いたり、ワードで書いたりしたそれらは今も自室に保管しています。見返すといえば時々ノートを捲る程度だったのですが、最近先人の日記を読んでいるということで、自分の日記もちょっと読んでみようと思ったのであります。そして今回、今まで開いていなかったワードの方を見ようとCDを開くと、そこには2002年から2004年にかけての日記が月別にファイリングされていました。

 

 

 

 

 

試しに2003年の今日の日記を見てみようと11月のファイルを開いてみると、つたない英語で書かれた日記が目に飛び込んできました。

 

 

 

 

 

 

英文科に属していた僕は留学せず、また授業に出ることもなく英語力をつけたくて、何を思ったのか一時期英語であれやこれやと書いていたのです。そんな時期もあったなぁと懐かしく思いますが、こうして見ると英語が酷くて笑える・・・。そして "drunk" という単語の多さよ・・・。

 

 

 

さて、14年前の11月27日のところを見ると「Yutei」という友人が京都から東京に遊びに来て僕の部屋にステイしていると書かれています。「ユテイ」、実はこのユテイ君が来ているこの時のことは過去にこのブログで書いていて、その偶然に今かなり驚いているのであります。彼は今年の2月13日の記事に「Y君」として登場していました。

 

 

少しずつ・・・

 

 

京都から東京に来たその日に高級な一眼レフのカメラを買って、気になるものを端から撮っていくユテイ君のことが書かれているのですが、実は彼はその翌日にそのカメラを道に落として破壊してしまうという後日談があるのです。そのことが14年前の11月28日のところに書かれている。居酒屋で高揚、大いに飲んで酔っぱらって買ったばかり大切なカメラを落とす。マウント部分が大きく凹んで使い物にならない。わずか1日で・・・マウントもさることながら当人の凹み具合も凄かったなぁ・・・。壊した次の日に買ったカメラが「ベッサ」だったんだな・・・この過去記事を読んで間違いに気づきました。

 

 

ところで僕が日記を書き始めた理由は、暇だったから。ただただ怠慢でグダグダな日々の言い訳のようなものです。夜中まで遊んで、昼まで眠る…起きたら映画を観て小説を読み漁る…東京に出て最初の1年間、そんな日々を延々と過ごしましたが、そんな学生生活のなんと怠惰で陰鬱なことか。これではいかん、日々のルーティーンを何か決めて自分に課そうと2000年の元旦から書き始めたのです。ただ、日記を書くだけで日々が充実するというものでもなく、読み返すと終始赤面、グダグダの極み、どうしようもない某若者の惰日が続いているのですが、まあ10年以上経ってこうして別の形で文章の材料になると思うと、記録だけでもしておいて良かったなと思わなくはないです。

 

 

 

脱線恐縮、トーマス・マンの日記を借りたという話。なぜトーマス・マンなのか。最近このブログとは別で少し長い文章を書いていて、これが驚くほど消耗するのです。そこでふとトーマス・マンが気になった。マンが代表作「魔の山」の執筆に12年という年月を費やしたというのを何かの本で読んだことがあったから。図書館で「魔の山」の周辺を見ていたら「トーマス・マン  日記」とある。12年かけて大長編を書く人の過ごし方ってどんな感じ?と手に取った次第です。ちなみに僕が借りた「1937ー1939」の巻に書かれているのは「魔の山」発表の13~15年後のこと。それでもとにかく(作家だから当然といえば当然なのですが)ずっと書いている。ずっと。そう考えると(もちろん比較すること自体が大変厚かましく馬鹿げているとはいえ)直近であれやこれやと少し書いたくらいで消耗するなどと感じているようではダメだなと自戒するばかりなのであります。

 

 

 

それにしても人の日記というのは面白いですね。・・・って自分のはとても公開できるような代物ではないし、してもアインシュタインとか出てこないし…。

 

 

嗚呼・・・長々失礼、そして恥ずかしながら消耗したので、もう「投稿」ボタン押します。では。

 

 

 

 

※追伸:本日もご覧いただきまして誠にありがとうございます。毎朝7時30分に更新している本ブログですが、諸事情により明日以降夜間 (時間不定) の更新とさせていただきます。引き続き宜しくお願い致します。

 

 

 

 

 

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