唐木俊介の雑感配信ブログ

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宝物

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よく通販を利用する。最近だとコーヒー豆、米、プロテイン、本など買った。お店に行き、商品を手に取り、レジに並び、持って帰る…そんな手間が何も無い。実に便利、テクノロジー万歳。スマホ片手に親指を動かせば必要な情報はいくらでも入ってくるし、欲しいものがワンタップで、最安値で購入可能。早ければ翌日には品物が自宅に届く、そんな時代。あらゆる買い物のシーンが手軽になって、良いことだらけだ。

 

 

 

・・・いや、裏側を見るとそうでもないか・・・日本ではもう何十年もの間、殆どの企業が「良いものを安く」をスローガンに大量生産/コスト削減の激戦を繰り広げてきた。高スペックで安くないと買ってもらえないんだから、作って売る方は大変、みんな擦り減って疲れきっているじゃないか。僕もアパレルの会社にいるから、その「擦り減る」感じはよくわかる。昨今のアパレル店舗では際限なく値引きが進み、セール期にショッピングモールに行くと「店内商品80%OFFで~す♪タイムセールで値下げ価格からさらに20%OFFで~す♪♪」なんて声が聞こえてくる。そうして無理矢理値段を下げてでも集客して「売上ガー!」と叫ぶ一方で、事業を維持するために「利益ガー!!」とも叫ぶ。・・・どうせえっちゅうねん。80%OFFの20%OFFって…。はて利益はどこから…? 僕は数年前から「この調子でいけば、商品をレジに持っていけばお金をもらえる日がいつか必ずやってくる」と声を大にして言い続けてきた。周囲の人たちは僕の掛け算のスキルに呆れて去っていくけれど、僕はその日が来るのをじっと待っている。

 

 

 

 

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そんな「良いものが / 安く / 簡単に」手に入る現代の消費シーンにおいて、目には見えないはずの「付加価値」の目立ちっぷりったらない。

 

 

 

僕はサーフィンが好きで、約1年半に1本のペースでボードをオーダーしているけれど、オーダーするサーフボードビルダーの方を決めている。また、家具などを自作するのが好きで、我が家で使用する家具も可能な限り自分で作っているけれど、難度が高くて手に負えないという時には、ある木工家の方に家具の製作を依頼すると決めている。近い将来に別の投稿で書くけれど、どちらも知り合って10年以上の付き合いになる。お二方はそれぞれサーフィンが、木工が、好きで仕方がない。情熱を持ってひたすら取り組まれる様子を、僕は長い付き合いの中でずっと見てきたし、話も聞いてきた。オーダーの際のコミュニケーションはとても多く、深い。だから僕がオーダーしてきた数々のサーフボードや家具には、その方々と出会った時から今に至るまでの10年以上の長いストーリーが詰まっている。作っていただいたアイテムはどれも高品質だと思うし、僕なりのストーリーに裏打ちされた、目に見えない価値を持っている。どれも僕の宝物だ。

 

 

 

こうした付加価値はずっと昔からあったはずだけれど、テクノロジーが進化し、市場が成熟しきった現代においては、その存在がより強く照らし出されていると感じる。どこかの誰かが作った何かをワンクリックで買える超インスタントな時代だからこそ、慕う誰かと深いコミュニケーションを取り、何かを作っていただく…そんなストーリーの大切さをより強く感じられるんじゃないだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

最近また、そう思った。

 

 

5月下旬、大阪の本町に「スナワチ」というレザーアイテムの専門店がオープンした。スナワチは日本国内の、小規模で展開されている職人気質なレザーブランドを取り扱うセレクトショップだ。元々はオンラインショップのみの展開だったけれど、この度路面店がオープンした。(ツイッターアカウントは@Sunawachi

 

 

 

http://sunawachi.com/

 

 

 

「スナワチ」のオーナーは前田将多さんという、元電通のコピーライターで、現在は株式会社スナワチの代表、コラムニストとしても活躍されている方だ。僕はTwitterを通して前田将多さん(@monthly_shota )を知り、すぐにフォロー、前田さんのツイートや、2003年から書かれているコラム『月刊ショータ』を過去に遡って読んでいくうちにどんどんファンになっていった。

 

 

前田将多さんは電通を退職された直後、青春時代からの夢だった"カウボーイ"への憧れを胸に単身北米へ渡り、カウボーイとして牧場で住み込みで働いてひと夏を過ごされた。そして帰国後、『 カウボーイ・サマー   8000エイカーの仕事場で 』というルポルタージュを執筆された。(あ、あの電通を辞めて、カ、カウボーイ・・・!?と僕は最初思いましたよ)

 

 

カウボーイ・サマー 8000エイカーの仕事場で (Tabistory Books)

 

 

 

こちら、夢を抱く全ての人が読むべき一冊だと思う。いや逆か…「やりたいことが見つからない…」と悩む人こそ読むべきかもしれない。いや、もう全員ですね。はい。

 

 

 

「40手前で、もう人生の半分が過ぎようとしてるのに、ずっと憧れてたカウボーイを知らないままでいいのか俺?ってね、思ったんですよ。」

 

 

一念発起のプロセスをご本人から直接聞いて、より一層、夢に対する想いの強さを感じた。同時に37歳の僕がちゃんと自分と向き合って生きているか、強く自問した。胸熱いまま読み進み、初読で涙したこの本を、僕は最近また読み返している。

 

 

 

 

"ご本人から直接"聞いたというのはつまり、お会いしたのだ。

 

5月下旬、僕はオープンしたばかりのスナワチを訪れた。お店は大阪本町、地下鉄本町駅21番出口からすぐのところにある。こちらのインプレッシヴなレザーの暖簾が目印だ。(MAP)

 

 

 

 

 

そこにはオーナーの前田将多さんがいらっしゃる。心動かされた本、その著者の方に淹れていただいたコーヒーを飲みながら、いろんなお話をさせていただく…素敵な時間だった。その日、僕は名刺入れをオーダーした。そう、オーダーできるのだ。スナワチの店内にはレザークラフトのアトリエがあり、そこには後藤優太さん(@I_Like_Leather_ )という職人さんがいらっしゃる。後藤優太さんは20歳の頃から17年間、大分県でレザークラフトに取り組まれてきた。BMJ (Big Mouse Jimmy)というブランドで、ご自身の手による一点物を創作されている。この度、スナワチのオープンに際して一念発起、単身大分から大阪に出てこられた。後藤さんは37歳で僕と同い歳、皆さん40歳手前で大きなジャッジをされている点、感じるものがあった。

 

 

 

僕はオールブラックの名刺入れをカスタムオーダーした。革小物で黒だと、ステッチは太番手の白というパターンが多いけれど、こちらでは糸色もコバの色もオーダーできる。名前の刻印もできる。良い。凄く良い。

 

 

 

後藤さんは、可能な限りのカスタムオーダーを受けてくださる。

 

 

(Reference:Twitter)

 

 

(Reference:Twitter)

 

 

(Reference:Twitter)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後藤さんに作っていただき、前田さんから受け取った名刺入れを、とてもとても気に入っている。美しい曲線のカッティングや丁寧な縫製など、そのスペックはもちろんのこと、そこには貴重な出会いから完成に至るまでのストーリーが詰まっているし、それはこれからも続いていくわけで…。新たに手に入れた宝物を大切に使っていきたい。そして次は何を、またその次は何をオーダーしようかと、サーフボードや家具と同じように、もう思っているし、そんな楽しみが湧いてくることがとても嬉しい。

 

 

 

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買い物はもっと便利になるんだろうな。ポチっとやればジャストフィットの洋服が翌日届く時代はもう来ているわけだし。値下げ合戦も激化するよな。%OFFが加速するあまり、レジに商品を持っていけばお金をもらえる時代、やっぱり来るぞ…(オマエにはわからんかもしれんが、その時代は絶対に来ないんだよ!と皆が言うけど…)。うむ。そんな、良いものが何でも安く簡単に手に入る時代だからこそ、誰に作ってもらい、誰から買うのか、そこにどんなストーリーがあるのか…より際立って照らし出される付加価値…それを見出せる出会いってのは、凄くありがたいですよねっていう、そういう話でした。いや、宝物がまたひとつ増えたし、これからも増えると思うと嬉しくて、ホントにもう…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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