A君(29)が勤めている会社でこんなことがあったそうだ。
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偉い人(50代)からのメール:「2019年4月から施行される『働き方改革関連法』に伴い、年間5日以上の有給休暇を計画的に取得するように」
A君:「どうせなら、来年は発生する有給休暇を全部消化したいなぁ」
Bさん(45):「え、ムリムリ。ウチの状況でそんなの到底ムリでしょ。やることいくらでもあるじゃん」
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A君、そこで(えっ!それっておかしいじゃん!)と思いつつ、「そうですよね」と言ったそうだ。ポイズンか君は。
うーん、よくないね。よくないねっていうのは、ヘンだなと思いつつ「そうですよね」って言った点がよくないね。自分をだますことなく生きていこうじゃないか。OH OH。
有給休暇か。
以前は割と有休を貯め込んでいた僕も、ここ2年ほど、順調に消化している。大体1カ月半前に「この日」と決めて申請し、仕事の段取りをする。社内では結構有休を消化している方だと思う。僕は広島の中小企業で働いているので、都心の先進的な企業のことは知らないけれど、少なくとも僕が働いている会社では多くのメンバーが有給休暇を貯め込んでいる。
これおそらく、雰囲気が原因だ。職場に漂っている雰囲気。みんながなんとなく「休みづらい」のだろうと僕は思っている。(休みたいけれど)休みにくい、(休みたいけれど)今の売上では休みにくい、(休みたいけれど)先輩が出勤だし私だけ休むのはちょっと・・・と、みんなが思っているんじゃないか。いやいや、そういうモヤモヤを抱えて会社に行くくらいなら、思いっきりリフレッシュして仕事に取り組んだ方がパフォーマンスが上がるだろう。
先日エクスペディア・ジャパンが発表した有給休暇取得に関する調査では、
日本の有休取得率、有給取得日数、ともに世界最下位
「有給休暇の取得に罪悪感がある」と考える日本人は世界最多
「上司が有給休暇の取得に協力的」と考える日本人は世界最少
と書かれていて、なんだか日本しょーもないな。国全体でダサいぞ、、、と思ってしまった。
「上司が有給休暇の取得に協力的じゃない」ってなぁ・・・と自分の職場を振り返る。幸い僕はそういう上司のもとで働いたことはない(いや、あっても何も感じていないだけ?)けれど、ある同僚は「理由がないから取れない」と言う。「休む理由を聞かれても答えられん」と。ああ、確かに時々、有休を申請すると「どうしたの?休んで何するの?」と聞く先輩や上長がいる。僕は「プライベートで用がありまして」とだけ答える。それでええやんけ。これ、聞く側はただなんとなく聞いているだけだと思うけれど、人によっては聞かれると気マズくなるんだろうな。中には気マズさと自分の欲が変な方向にはたらいて「法事」「友人の結婚式」など架空の事由をでっちあげたりする人もいる。「何するの?」と聞かれるのも、理由をでっちあげるのも嫌だと言う人は「なんとなく休みづらい」という理由で、なんとなく働いている。
職場のイントラネットの有休申請フォームには日付と理由を記入するよう定められていて、僕はいつも申請理由の欄に「私用のため」と書く。他に書きようがない。そもそも、急な身内の不幸など、仕事の流れを無理矢理止めなければならないような場合を除いて、【休むこと】の申請に理由が要るのか?法事で休むこともあれば、家族で出かけることもある。趣味に没頭することもあるし、電話がかかってこない静かな環境で溜まった仕事をすることもある。そんなのイチイチ書いてどうするんだ?と思えば「私用のため」としか書きようがない。仕組みは別に悪くない。ちゃんと仕事の段取りをして、ちゃんと申請してちゃんと休めばいいじゃないか。
かく言う僕も、以前は「なんとなくそういうもの」と認識して有休を貯め込んでいた。でもここ数年で出会った友人の話を聞いているうちにだんだん考え方が変わっていった。
「嗚呼、有給あと2日しか残ってないわ~」と嘆く大手電機メーカー社員で熱烈なサーファーBさん。
「ここ5年間、有給消化率100%だ」と胸を張る大手自動車メーカーの営業マンT君。
土日関係なく毎日朝から晩まで好きな仕事に没頭している鍛金職人Hさん。
毎日深夜まで働いてタクシーで帰宅しているのに仕事が楽しくてイキイキしている研究者Y君。
彼らは皆、雰囲気に流されず自分の頭で考え、自分の立場でできることを全力でやって結果も出している。有休をフルに消化して趣味に没頭する(本当に凄い熱量で没頭している)のも、土日関係なくひたすら働くのも本人が考えて自分の意思でやっているのだから、モヤモヤは無いわな。みんな、すごくカッコいい。僕もかくありたいと憧れてやまない。やっぱり自分の頭でしっかり考えて、仕事も遊びもベストパフォーマンスで活動しないと・・・雰囲気に流されてモヤモヤしているようじゃダメだ・・・と、自戒するばかりだ。
『働き方改革関連法』、来年4月から施行か。少しは雰囲気が変わるだろうか。いや変えましょう。皆で今まで以上に本気で働き、本気で遊ぼうじゃないか。
あ、でも少し寂しいな。
あれは今年の夏の終わり。いつも額に汗してバリバリ体育会系のノリ、有給なんてフルに貯まってて当然、早く帰るやつはけしからん!休みも仕事するくらいじゃないとダメだ!みたいなモーレツな先輩が、ある日「法事」を理由に有給を取った。その日の夜、家に帰ってテレビを点けると、その先輩がカープ戦のテレビ中継で真っ赤なユニフォーム姿で映っていた。頬にカープの「C」マークを描き、メガホン片手にシャウトする姿をアップで抜かれた先輩を見て、僕は腹を抱えた。先輩、いつもどおり額に汗して、なかなか賑やかな法事じゃないか。
っていう、そういうことはもうなくなるのか・・・いや、まあええか。
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