シシュウワッペンをやっておりまーす
シシュウワッペンをやっておりまーす
東京ビッグサイトで開催されている消費財の見本市にて、とあるブースで商談をしていると、後ろから聞こえてきた
シシュウワッペンをやっておりまーす
という文言。なんというか、男性の、高めの、ヤギみたいな声（どんな声やねん。でも例えるならヤギかな）で、少し早口。
シシュウワッペンをやっておりまーす
振り返ると、髪を短く刈り込んだ細身でメガネをかけたお兄さんが立っている。着ている硬そうな素材のGジャンの、左右の胸のところに和柄の刺繍ワッペンがついている。袖にも大きな刺繍ワッペンが付けられている。なるほど、彼はオリジナルの刺繍を施したワッペンを売り出しているのであります。ああ、刺繍ワッペン屋さんなんだ･･･とまた振り返って商談に戻る。…んですが、後ろから聞こえてくるんです…。
僕：こちらの値段はいくらですか？
（刺繍ワッペンをやっておりまーす）
担当者：3900円です。
（刺繍ワッペンをやっておりまーす）
僕：納期はいつですか？
（刺繍ワッペンをやっておりまーす）
担：4月中旬です。
（刺繍ワッペンをやっておりまーす）
僕：こちらの商品は評判良いですか？
（刺繍ワッペンをやっ:いや刺繍ワッペンわかったから！！！
わかります。沢山の人がひっきりなしに通るから、できるだけ多くの人にブースに立ち寄ってもらわなきゃいけないですもんね。わかります。実際僕も数年前にこの見本市のブースに立ちましたし。呼び込みは大事。ただ、回数と言い方とその、なんていうか、うん、気になるわ流石に・・・。等間隔でひたすら繰り返す「刺繍ワッペンをやっておりまーす」（ヤギ＆早口）・・・。
担当者の方に「後ろのブースの『刺繍ワッペンをやっておりまーす』っていう声、気になりませんか」と聞くと食い気味に「なります！朝からずっとですよ！もう頭から離れません！」と言われていました。
僕「ですよね。さっきからずっと『刺繍ワッペン』言うてますもんね」
坦：「そうなんです。朝からずっとですよ」
（あれっ？今言ってないな・・・）と振り返ると、ブースの中でお客さんと話をしている。そうか！ブースにお客さんが入ってくるまでは「刺繍ワッペン」言うけれど、いざお客さんがブースに入ったらそりゃ言えんわな。でもこのお客さんが帰ったらまた
刺繍ワッペンをやっておりまーす（早口&ヤギ）
言うんかな・・・。
僕：「大変ですね」
坦：「はい。もう今日これから最後までずっと…」
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･･･なんて話していると僕らがいたブースは他のお客さんで混み合ってきたので、僕は早々と商談を済ませて別のブースへ。同行の後輩と「今頃言うてるでシシュウワッペン」「ですよね。絶対言うてますよね」的な会話をしながら会場内をあるいていると、何やら前方がザワついている。見ると、レジェンド松下さんが実演販売をやっていた。ご存知ですか？大人気実演販売士「レジェンド松下」さん。
松下さんは、フックが付いた粘着シートを壁にペタッと貼り付けたら、絶対に剥がれなくて、そして耐荷重はなんと12kg！という商品を実演販売していました。コレです↓↓今は在庫ないみたいです。
その間わずか5分くらいでしょうか。目の前で熱弁、熱弁なのに抵抗なくスーッと入ってくる詳細でイメージしやすい説明。いつのまにか、嗚呼･･･欲しい。完全に欲しい気持ちになったところで説明終了、周囲からは拍手が起こる展開に。いや、これは凄いわ。目の前で見ることができて感激ですよ。で、お客さんはブースの周りにそのまま立っている。次に何を実演販売してくれるのかと待っているのです。僕も待っていました。聞きたいんです。次の説明が。何か言ってください松下さん…と皆が思っている。ただ、どうやら一旦休憩といった雰囲気になったので「凄いなー」「ですよねー欲しくなりますよねー」なんて後輩と会話しながらその場を後にしたのですが、さっきふと思った。
レジェンド松下さんが刺繍ワッペンの呼び込みをやればやっぱり人だかりができるんだろうか…。ヤギ風の「刺繍ワッペン」ってのはもう聞きたくないけれど、レジェンド松下さんが言う「刺繍ワッペン」は聞きたい…。
なーんて。
ちなみにここまでで22回も書いています。
「シシュウワッペン」
あ、23回になった。
ただ「シシュウワッペン」言いたいだけなのがバレそうなので今日はこれにて。
あっ！24...
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