唐木俊介の雑感配信ブログ

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なんかシュール

投稿日:

 

 

 

正しいと信じていた方法に、実は全然効果が無かったと知った時の不条理な感覚ったらない。

 

 

 

 

◆ 連日の猛暑、毎日見る熱中症のニュース・・・その応急処置として今まで正しいとされていた首、脇、鼠径部をアイシングする方法に効果が無いと主張する論文がSNS上でシェアされまくっている。ええっ?そうなん?処置して急速に深部体温を下げるためには、全身で氷水に浸かりつつ流水をかけ続けなければ意味が無いそうで…

 

 

 

今まで多くの人が真剣に取り組んできた処置方法、あれ効果無かったのか…。

 

 

 

 

 

◆ これもビックリしたなぁ↓↓ 先日、水泳のクロールでスピードが秒速1・3メートルを超えるとバタ足の効果が無くなり、逆に水の抵抗が増えてしまうという記事が出ていた。えっ?そうなん? 加速に必須のバタ足じゃなかったのか…。

 

 

2020年の東京オリンピックでは、コースの途中から誰もバタ足しなくなるんじゃないだろうか。なんか、ヌヌヌッと進むんだろうな。ヌヌヌっと。

 

 

 

 

アイシングにしてもバタ足にしても「そうだったのか・・・」と驚くばかりだ。今まで我々が真剣に取り組んできたことは一体何だったのか・・・

 

 

 

 

そんな不条理を、僕自身も感じたことがある。

 

 

 

 

◆ というわけで、ひとつ。自分の、古い話を。

 

 

 

 

小学5年生の夏、急に咳が出るようになった。

 

 

 

夜になると咳が出る。出始めたら止まらない。もう、ずっとゴホゴホゼエゼエと咳が出る。毎晩、咳が出るまま横になっていると、やがて咳の反動で身体が痛くなった。僕は座椅子の背もたれを少し倒し、そこに座った状態で眠るようになった。当然そんな姿勢では熟睡できず、学校に通うのもとてもしんどかった。両親はひどく心配した。僕は近所のいくつかの病院へ行った。どの先生も「小児喘息」の一点張りだった。僕は行く先々でいろんな種類の咳止めを処方してもらった。

 

 

 

ただ、どんな薬を飲んでも、咳は止まらなかった。

 

 

 

母は動いた。僕の母は若い頃、生死を彷徨うほどの大病を患った。闘病中、母は病院での治療以外にも沢山の情報をかき集めた。そして藁にも縋る思いで、ある健康食品を摂るようになった。その健康食品を母に紹介したHさんが、筋金入りの健康マニアで、僕の咳の話を聞くなり、家まで飛んできてくれたのだ。なにやらHさんには、あまり知られていない秘策があるという。

 

 

 

 

どんなスペシャルアイテムが出てくるのかと思ったけれど、Hさんがドヤ顔で鞄から取り出したのは意外にも身近なモノだった。

 

 

 

カラシだ。

 

 

 

Hさんは、鞄からカラシを取り出して、僕の胸に塗った。あの、おでんにつける「ねりからし」をブチューっと出して、べったりと僕の胸に塗った。その上にガーゼを貼って、処置は終わった。内容は覚えていないけれど、Hさんはとても真剣な表情でその効能を母に説明していた。咳が出ていない時だったので、その時点では効果が分からなかったけれど、ものすごく胸がヒリヒリしたのをハッキリと覚えている。

「シュン君、これで大丈夫よ!」

 

 

 

その夜、布団に横になると、やはり咳が出た。

 

きた。

 

 

僕は胸にカラシを塗りたくった。次第にヒリヒリしてきた。

 

 

 

 

・・・。

 

 

 

 

ゴホッ、ゴホゴホッ・・・

 

 

 

 

 

・・・。

 

 

 

 

 

咳は止まらなかった。

 

 

 

 

残念ながら、効果は無かった。ヒリヒリした感覚だけが残った。その夜もいつもと変わらず、猛烈に咳が出た。Hさんの秘策をもってしても謎の咳を止めることはできなかった。

 

 

 

 

 

 

 

数日後、またHさんがやってきた。なにやらHさんには、あまり知られていない秘策パート2があるという。

 

 

 

Hさん今度は、長ネギを持ってきた。長ネギ。太い長ネギだ。

 

 

 

そして母に言った。「唐木さん、タオル1枚お願い。あと、お湯も」

 

Hさんは、長ネギを我が家の台所でカットし、お湯をはったボウルとタオルと一緒に僕の部屋まで持ってきた。Hさんはボウルのお湯でタオルを湿らせ、それを僕の首に巻いた。そしてタオルと首の間に、5センチくらいの長さにカットされたネギを差していった。内容は覚えていないけれど、Hさんはとても真剣な表情でその効能を母に説明していた。咳が出ていない時だったので、その時点では効果が分からなかったけれど、ものすごく首のあたりがネギ臭かったのをハッキリと覚えている。

「シュン君、これで大丈夫よ!!」

 

 

 

 

その夜、布団に横になると、やはり咳が出た。

 

きた。

 

 

僕は横になり、タオルを巻いた首にネギを差しまくった。次第にネギ臭くなってきた。

 

 

 

 

 

 

 

・・・。

 

 

 

 

 

ゴホッ、ゴホゴホッ・・・

 

 

 

 

 

・・・。

 

 

 

 

 

咳は止まらなかった。

 

 

 

 

 

残念ながら、効果は無かった。ネギの強烈なニオイだけが残った。その夜もいつもと変わらず、猛烈に咳が出た。Hさんの秘策パート2をもってしても謎の咳を止めることはできなかった。

 

 

 

 

 

なんなんだこれは!? 咳止めも駄目、カラシも駄目、長ネギも駄目、しまいにはHさん、その部屋に流れる「気」がどうのこうのと言い出して、もう何が何だかわからなくなった。そして僕の咳は止まらない。家族一同とHさん、どうしたものかと困り果てた。

 

 

 

 

 

・・・これは、何か特殊な病気かもしれない。というわけで、少し遠くにある大きな病院に行くことになった。

 

 

 

長い待ち時間の末に診察を受け、僕は検査のため少しの間入院することになった。たしか入院したその日に、血液検査を受けたと思う。

 

 

 

 

翌日だったか、主治医の先生が僕の病室に来ている時に、看護師さんが血液検査の結果を持ってきた。先生は検査結果を睨んだ。母親は僕が検査を受ける前に「もしかしたら何かの感染症かもしれませんね」的なことを先生から言われていたそうだ。さて結果や如何に。

 

 

 

深刻な表情の先生が、ボソッと呟いた。

 

 

 

 

 

 

「そば…」

 

 

「えっ!?」

 

 

 

 

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毎晩、寝る前に咳が出るのも無理はない。血液検査の結果、僕は"そばアレルギー"だと判明した。そして、そんな僕が使っていた枕は"そば殻枕"だった。僕は一番身体が受け付けないものを身体に密着させて寝ていたのだ。止まぬ咳の原因はすぐそばにあった。言うてる場合か。と、すぐに枕を捨てたその翌日から、咳は全く出なくなった。

 

 

 

 

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知り合った方と初めて食事の約束をする時など「私はそばアレルギーなんです」と必ず言う。「えっ?そうなんですか?大変ですねぇ…」なんて会話をしていると、時々思い出す。ヒリヒリしたなぁ。ネギ臭かったなぁ・・・Hさんのドヤ顔や、母に効能を説明する真剣な表情を、はっきりと思い出す。

 

 

カラシ、長ネギ・・・Hさん・・・嗚呼、なんていうか、シュールだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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