唐木俊介のブログ

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冷蔵庫を買った話

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10年以上使っている冷蔵庫が容量不足で、新しいのを買おうということになり、家族でヤマダ電機へ向かった。なにやら冷蔵庫というのは毎年8月中旬から9月上旬がモデルチェンジの時期で、各社の新作が出る前に現行品が一気に値下がりするそうだ。

 

 

大手の家電量販店には、各電機メーカー専属の販売スタッフさんが常駐している。住んでいる広島県福山市にあるヤマダ電機の白物家電コーナーにも日立・三菱・パナソニック…と、各社から派遣された販売員さんがウロウロしている。

 

 

そこに、パナソニック専属のNさんという人がいる。僕は1年ほど前、Nさんから洗濯機を買った。Nさんは詳しい。凄く詳しい。僕がパナソニックと日立の似たようなスペックの洗濯機について説明を求めると「パチン」と音はしないけれど、一気にNさんにスイッチが入った。消費電力が云々、サイズが云々、水流が云々、洗剤を入れるところが云々…Nさん、僕側に10度ほど傾いた状態で熱烈に商品説明をしてくださった。膨大な家電の知識と熱量が迫ってくる。

 

 

Nさんはダイレクトに「パナソニックを買って」と言わない。日立、東芝、シャープなど他のメーカーの商品の特徴もしっかりと把握されていて、それらを惜しみなく教えてくれる。ある点ではパナソニックの方が優れているけれど、別の点では日立の方が優れている、実はその点ではシャープも…という感じで、こちらが求めている情報をコンパクトに要約し、テンポ良く説明してくださった。洗濯回数やうちの奥さんの身長、洗濯機置き場の配置など相談し、スペック的にはパナソニックと日立が並列していたけれど、僕はもうNさんの説明に感服したし、なんだかとてもありがたくて、パナソニックを買った。手厚いサービスに御礼申し上げ、さらにNさんの名刺を頂いてその日は帰った。

 

 

 

 

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あれから約1年が経ち、今回訪れたヤマダ電機の白物フロア、そこにNさんはいなかった。なんだNさんいないのか、残念。今日はお休みかな?…まあいろいろ見てみるか…と奥さんとウロウロ。ふと某社の商品が気になった。…とそこへ販売スタッフさんがやってきた。そして開口一番「それも良いのですが、断然こちらがオススメです!」と、いきなりその後ろにあった商品を指し示す。僕はその人が着ている法被を見た。ああ、僕らが気になっている商品じゃなくて、その人が担当するメーカーの商品を勧めているのか…と説明を聞く。たしかにオススメ商品は良さそうだけれど【それ】より断然【こちら】が良い理由はなんやねん…と思い「それらの一番大きな違いは何ですか?」と聞くと「どちらも良い製品ですが、こちらはパーシャル機能と、冷凍室の中の使い勝手が良いんです。もう各社の中でダントツで」と。ほう。どこが?どんなふうに?と聞いていくと、徐々にまごついていくスタッフさん、終いには商品に貼ってある説明POPに書いてあることをそのまま読み始めた。いやいやいや、それは見たらわかるから。そうじゃなくて使用感とか、パッと見じゃわからんところを知りたいねんワシは…げんなりしていると「こちら、今ちょうど商品の入れ替え時期なので、お値段もしっかり勉強させていただきますよ!」と、そこは威勢がいい。いやいや、値段はええから商品の勉強してくれよ。(あっ、うそ。値段も勉強してください。)

 

 

…とその時、僕の視界を青いベストの男性が横切った。

ベストには「Panasonic」のロゴ。

 

 

Nさんだ。

 

 

Nさんは別のお客さん相手に冷蔵庫の説明をしていた。僕は「ちょっと他のも見てから考えます」とその販売員さんとの会話を終わらせ、Nさんが接客している真横にビタっとつけた。うん、やっぱりNさん、良い。Nさんこの日もギアが入りっぱなしだった。記憶している部分を挙げると、

 

 

・「大体どのメーカーも下の野菜室の奥にコンプレッサーがついているのでそこが狭くなるんですが、パナソニックの冷蔵庫はコンプレッサーが最上段の奥側に付いています。ヌフフ。600リットルクラスの冷蔵庫で最上段だと奥様は手が届かないという方が結構いらしゃいますので、コンプレッサーがスペースを邪魔しても支障ないかと。逆に最下段の野菜室は広く使えますし…(続)」

(・・・うちの奥さん、背ぇ低いぞ!ピッタリやんけ)

 

 

・「こちらのメーカー(パナソニックではない)のチルド機能、『真空』と書かれていますが、これ0.8気圧なんです。ヌフフ。0.8気圧っていうと、上空を飛ぶ飛行機の客室内くらいです。なので全く空気が無いというわけではありません。つまり、通常よりも酸素が少ない空間で、食品が酸化しにくいということなんです。ヌフフッ。そのままの状態でこの中に食材を入れても鮮度が長持ちしますよ~と。だからラップせずに食品をそのまま入れたいって方には凄く向いてます。ヌフフ。…え?デメリットですか、そうですね、このチルドルームは密閉空間なので、食品や空気中の水分で周りに霜が付きやすいんですよね。(ここでNさんは室内を触り、濡れた手を見せる)ですので定期的なお掃除をオススメします。あと容量なんですが…(続)」

(あ、圧巻・・・。レ、レレレーテンハチ気圧・・・ってなんだよ・・・。ほんでウチの奥さん、全部ラップするし、この機能無くても容量大きい方がええか。掃除も面倒くさいし・・・)

 

 

 

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少し経って、接客が終わったNさんに話しかけた。洗濯機を買った時にもお世話になった事を伝えると驚いた様子のNさん、一気にスイッチが入り、そこから各社商品についてフルコースで説明していただいた。膨大な知識。もうノート取りたい気分。0.8気圧のくだりも再度拝聴した。途中でマイケル・ジャクソンの「ンアッ!!」みたいに「ヌフフ」を挟みながら、テンポ良く商品説明をしてくださるNさん、コミュニケーションの中でうちの奥さんから、

 

・冷蔵庫内部のスイッチでいちいち細かく設定を変えない

・冷凍室の広さ重視

・肉や魚をよく冷凍する

・調味料も結構入れるタイプ

・夫はビールが好き

・・・その他諸々、様々な情報をインプットして、最終的にシャープとパナソニックの2社の製品を勧めてくださった。

 

 

いやいや、そりゃもう、パナソニックだろうよ。シャープは野菜室が狭いという理由もあったけれど、もし2社が全く同じスペックだったとしてもNさん担当のパナソニックを買うわ。家電販売ショーとでも言おうか、今回も各社の製品について圧倒的な勢いで沢山教えていただいて、とてもありがたい気持ちだった。というわけで「これください」とパナソニックで決定。

 

 

うちの奥さんもNさんの説明に圧倒されていた。Nさんが良い、もう今後家電はNさんから買いたいという。うむ。だよな~。

 

 

 

 

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さて、Nさんから冷蔵庫を買ったその日の夜、地元の花火大会があった。我が家は高台にあって、毎年リビングから遠くに小さく上がる花火を観る。10キロくらいあるかな?市街の向こう側に小さく見える花火、ふとカメラに望遠レンズを付けて覗いてみると結構迫力があった。よし、とシャッターを押すも、夜間、遠くで光っては消える花火にピントが合わない。もう終盤、どんな設定で撮ればいいのかわからない。スマホで「一眼レフ 花火 撮影」なんて検索しているうちに花火が終わってしまう。ああぁ・・・すぐに撮らなきゃ。ああぁ・・・。

 

 

 

設定が分からずお任せモードでカシャカシャ撮った中で、スマホの小さな画面なら、まあなんとか写真として見れるかなぁ…ってのをツイートしたけれど、なんだかボヤけていて凄くもどかしい。もっとこう、くっきりと撮りたいのに…嗚呼。

 

今は何でもすぐにスマホで調べられるけれど、やっぱり興味あることはちゃんと勉強しなきゃダメだ。自分の身体にしっかりと知識を染み付かせて、いつでもすぐに引き出して使えるようにしなきゃダメだ…湧き上がる自戒の念。抱えた頭の中で、昼間のNさんの華麗なる家電販売ショーがリピート再生されていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

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